【初エンカ】お義父さん｟20歳36日目｠

半同棲の恋人は父さんと久々に会うとかで、8時に出掛けていった。家に残された僕は、今日丸1、日1人でダラダラすることになるだろうと思っていた。予想が外れて17時。恋人からLINEが来た。

『お父さんとCoCo壱行くんだけど一緒に食べない？』

このメッセージを見た時、いろんな感情が一気に押し寄せてきた。彼女とご飯に行ける喜びとか、外出る準備しなきゃと焦ったりとか…または、初めて会う恋人の父親に緊張したりとか。〇〇さんをお嫁さんにください的ご挨拶をやるべきなのかと心臓バックバクのまま身支度をしていると、僕の部屋まで恋人が迎えに来た。かくして、心の身支度は中途半端に、お義父さんと対峙することとなる。

恋人とお義父さんは車でお出かけしていたらしく、お義父さんは僕の家の近くにあるコンビニで、車共々待っていらした。初めましてなのに待たせる側でよかったのか。

とりあえず第一印象は大事なので、苗字を名乗ってよろしくとした。結婚すれば恋人も僕と同じ苗字になるので、ファーストネームも紹介すべきだったが、緊張しすぎて長文が発音できなかったので致し方なし。それくらい僕はガッチガチだったし、なによりソワソワしてた。恋人はお義父さんに対しても僕を呼び名で話しているらしく、苗字だけでも十分な情報と捉えてくれた。自己紹介にしては無味乾燥だが、及第点は貰えたのではなかろうか。

お義父さんの第一印象は、なによりも若さだった。僕の父さんは56歳で、母さんも50歳は超えている。同世代の親御さんにしては少し年齢が上かもしれないが、お義父さんはもっと若かった。まさかの43歳。登山が趣味らしく、細身ながらもしっかりした体をお持ちだった。なんか、負けた気がした。