ぺだんの日記

日々の出来事や思ったことを色々書いていこうと思います

あしながなが⦅20歳83日目⦆

【惚気注意】

あしながながをご存知だろうか。

これは彼女が僕に送ってきたメッセージだ。そんなんわかるかいなと思われるだろうが、このメッセージの意味は誰でも解くことができる。内輪ノリの延長線上ではない。

このメッセージの真意を知るためには、いわゆる教養というものが必要になる。

教養とはなんだろう。コトバンクより、精選版 日本国語大辞典の教養の項から②の意味を引用しよう。

学問、知識などによって養われた品位。教育、勉学などによって蓄えられた能力、知識。文化に関する広い知識。

これが教養ってやつらしい。学問や知識、文化など、さまざまなキーワードが見つけられる。"あしながなが"を理解するにあたっても、これらのキーワードが文字通り鍵を握る。

まずはじめに学問。今回の"あしながなが"に深く関わりのある学問ジャンルは国語だ。その中でも古典のジャンルと密接に繋がっている。中学あるいは高校の古典を思い出してほしい。"あしながなが"に近いフレーズは見つかりそうですか?

次に知識。"あしながなが"はひらめきパズルの類ではない。古典の知識を知っておく必要がある。今回必要な知識は小倉百人一首だ。ここまでこればピンと来る人はもうきたのではないだろうか。ピンと来なかった人は、多分解けない。さっき言った通り、ひらめきパズルじゃないからね。

文化的な観点は今回は少し不要かもしれない。しかし、文化を知ることで"あしながなが"の歌がどのような歌なのか、理解を深めることができる。またその理解から、彼女と僕がどのようなやりとりをしているのか、僕たちがどのような状況に置かれているのかを推測し、情景を浮かべることができる。

答え合わせといこう。今回の歌はこれだ。

あしびきの 山どりの尾の しだり尾の

長々し夜を ひとりかも寝む

今はまだ秋ではなく、これから夏本番の暑さを控えた7月の上旬。この句の"長々し夜"はまだ少し先である。季節感としてはマッチしていないが、情景としては今の僕にぴったりだ。

いつだかの日記にも書いたが、彼女は7月10日の選挙のために帰省中だ。そのため今夜は僕ひとりで寝る。一人暮らしを始めて半年経つが、いつも彼女と寝ていたせいで、ひとりで寝ることに慣れていない。寂しい気持ちを押し殺せずにいる。まぁ、今日は特に一人でいたくない。世間では悲しい事件が起こったからね。

そんな寂しい夜も、寝てしまえば一瞬で過ぎ去るんだろうけど、寂しい気持ちを持ったまま寝るのは難しい。暗くて怖くて廊下でさえも歩こうという気にならないし、寝てしまうこともまた怖くてできない。目をつむると、暗い世界に落ちていく気がする。暗い怖いは昔から嫌いだ。

どのような文として彼女から"あしながなが"が送られてきたのかも示しておこう。状況は上にも述べた通り、彼女が帰省して僕は孤独に寝ることになったといった感じだ。彼女が故郷へ帰るための電車に乗り、もうこちらの地方にはいなくなった辺りで届いたLINEに、"あしながなが"が現れた。

二日間の「あしながなが」頑張ってくれ。
10日すぐ会いに行くから。

君なら伝わるだろう。そう言われている気がした。実際、僕には伝わった。

僕は百人一首をほとんど覚えていないが、彼女は全て覚えている。彼女は時々このようにして、僕に百人一首との接点を作ってくれる。そのおかげでいくつかの恋歌は覚えているのだ。

今回引用された歌は、以前に何回か触れたことがあった。"あしながなが"と略したこともあったので、それほど時間をかけることなく、LINEの意図を汲み取れた。

彼女は僕に惚れられていることをよく理解している。僕が"あしながなが"になると確信しているくらいには僕の愛情をしかと受け止めてくれている。ありがたいものだ。

僕が彼女に常に注ぎ続けるなんてのは当たり前のことだが、彼女に僕の愛情を当たり前のものと思われてしまっては癪だ。少しはレアリティを感じてほしい。僕は好きな人に好かれる経験が今までなくて、拗らせちゃったのかな。